古町遺跡
[2021年5月11日]
ID:16693
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古町遺跡(ふるまちいせき)は、室町時代後期の鍛冶作業を行った遺跡です。
フイゴの羽口(はぐち)や金床石(かなとこいし)などが出土したことから、高温に熱した鉄を打ち叩き、短刀などの鉄製品の加工を行っていたと考えられ、「刃物の町・関」の起源や中世の関の様子を具体的に解き明かすことができる重要な遺跡です。
ここでは、古町遺跡についての解説をはじめ、発掘調査の結果や、現在進めている出土品の調査、分析の結果などを紹介します。
古町遺跡は関市の中心市街地の南にあり、独立丘陵の安桜山と長良川の支流・津保川に挟まれた台地上に位置します。東側には関川が流れ、対岸には中世に関鍛冶職の惣氏神として信仰を集めた春日神社が所在します。
関市の観光拠点施設「刃物ミュージアム回廊整備事業」が計画されたことに伴い、試掘調査を実施した結果、中世の遺構・遺物が発見されました。そのため、平成30年度に発掘調査を実施することになりました。
なお、遺跡名の「古町」は、昭和27年(1952)まで当地で使われていた地名です。
鍛冶作業に関連する遺構・遺物のほかに、14~16世紀の遺物が16,000点以上出土しました。その中には、山茶碗、かわらけ、灯明皿(とうみょうざら)、灰釉皿(かいゆうざら)、鉄釉擂鉢(てつゆうすりばち)を中心とする瀬戸・美濃産陶器、常滑焼大甕(おおがめ)、青磁椀、景徳鎮の青花皿(せいかざら)、銅が付着した取鍋(溶かした金属をすくって鋳型に流し込むための容器)、砥石、銅銭などが含まれます。これらの出土品は、広域にわたる商品流通が行われ、人と物が集まる町として発展したことを示しています。
せきてらすには、古町遺跡の遺構をガラス張りで露出展示しているスペースが建物内に2ヵ所あります。ここでは、鍛冶作業を行った炉の底(火床=ほど)の跡を見ることができます。
展示は施設開館時間内に見学いただけます。それぞれの施設の開館時間等は せきてらすのページ(別ウインドウで開く) をご覧ください。
観光案内所の北西角のスペースにあります。
ここでは、上下2層の炉の底面(火床=ほど)を発見しました。下段が古く、上段が新しいです。同じ場所で繰り返し操業を行ったと考えられます。
上段の炉跡は湿気を除くために、設置場所を掘り下げた後、土質が違う土を交互に埋め戻してから(下部構造)、炉の底面を整えています。
下段の炉跡は、高温により底面が真っ赤に変色しています。
刃物会館の正面玄関にあります。
ここでは炉の底面(火床=ほど)が見つかりました。高温により赤く変色していることがわかります。炉の本体は残っていませんでしたが、炉内部から掻き出した焼土粒や炉の底にたまった不純物(椀型滓=わんがたさい)が出土しました。
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