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関の観光・文化

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    弥勒寺遺跡群 調査の歴史と保存活用

    • ID:20541

     弥勒寺遺跡群は、弥勒寺跡弥勒寺官衙遺跡(弥勒寺東遺跡)弥勒寺西遺跡池尻大塚古墳で構成される、古墳時代後期から奈良時代・平安時代にかけての遺跡群です。このうち、弥勒寺跡、弥勒寺官衙遺跡、池尻大塚古墳は、国史跡 弥勒寺官衙遺跡群に指定されています。

     このページでは、遺跡群で長年にわたっておこなってきた調査の歴史と、遺跡を未来に伝えるための保存整備や活用の事業を紹介します。

    弥勒寺遺跡群 調査と史跡指定の歴史

     弥勒寺跡の地表に残る塔跡は、1930(昭和5)年、岐阜県史跡に指定されました。戦後、地元の方の要請を受けた国立博物館学芸部長の石田茂作博士によって、本格的な学術調査が開始されます。1953(昭和28)年からおこなわれた発掘調査により、法起寺式伽藍配置であること、川原寺式の瓦(複弁蓮花文軒丸瓦、凸面布目平瓦など)が用いられたことが確認されました。いずれも当時の都・大和(奈良県)の寺院で、都から技術が伝わったことが明らかになりました。その後の調査もふまえて、1959(昭和34)年、弥勒寺跡は白鳳時代の寺院跡として、瓦を供給した丸山古窯跡(美濃市大矢田)とともに、国史跡の指定を受けました。

     弥勒寺跡の指定から35年後の1994(平成6)年、周辺整備のために弥勒寺跡の東側(弥勒寺東遺跡)で発掘調査を実施しました。この調査で倉庫群(正倉院)の跡を発見したことから、調査は6年におよび、正倉院に加えて政庁跡(郡庁院)の存在が明らかになりました。円面硯・炭化米など古代の役所跡(官衙)を示す品も出土し、東遺跡は弥勒寺官衙遺跡として、2007(平成19)年に国史跡に追加指定されています。

     2002(平成14)年、関市円空館建設にともない実施した発掘調査は、弥勒寺西遺跡の発見につながりました。西遺跡では、古代の水の祭祀や工房などの跡、墨書土器を含む1万数千点の出土品が見つかっています。また、湿地であるために木製品が多く残っており、祭祀に用いられた斎串や形代のほか、木簡も出土しています。

     弥勒寺跡と池尻山でつながる池尻大塚古墳は、調査以前から石室の天井石が露出しており、古墳として知られていました。2008(平成20)年と2011(平成23)年に発掘調査を実施し、横穴式石室を持つ古墳時代後期の方墳であることが明らかになりました。弥勒寺官衙遺跡の造営者に関わる被葬者と推定され、2016(平成28)年、国史跡に追加指定されています。

    調査と指定の歴史
    内容 報告書
    刊行年
    昭和28年(1953) 石田茂作氏指導による弥勒寺跡発掘調査着手 1986
    昭和29年(1954) 東京国立博物館発行の「MUSEUM」に弥勒寺造営の背景掲載
    昭和31年(1956) 丸子恒氏が弥勒寺瓦について「布目瓦についての考察」を発表
    弥勒寺跡第2次発掘調査 金堂、回廊、南大門、中門、僧房の発見

    1986
    昭和32年(1957) 丸山古窯跡調査によって、弥勒寺へ瓦を供給した瓦窯とされる
    昭和34年(1959) 「弥勒寺跡 附丸山古窯跡」として国史跡に指定される
    昭和55年(1980) 『史跡 弥勒寺跡 附丸山古窯跡 保存管理計画書』刊行
    昭和62年(1987) 弥勒寺跡第1次範囲確認発掘調査 A~Fトレンチ、弥勒寺古墳測量
     指定区域の南への遺構の広がり確認
    1988

    昭和63年(1988) 弥勒寺跡第2次範囲確認発掘調査 1~7トレンチ
     南限の掘立柱塀及び南門の検出
    1989

    平成元年(1989) 弥勒寺跡第3次範囲確認発掘調査 i~iiiトレンチ
     竪穴建物、掘立柱建物検出
     指定区域の西への遺構の広がり確認
    1990


    平成6年(1994) 範囲確認調査の成果から、南と西へ範囲を広げ追加指定(弥勒寺跡)
    第1次弥勒寺東遺跡発掘調査
     倉庫群の検出によって郡衙説浮上

    1999◆

    平成7年(1995) 第2次弥勒寺東遺跡発掘調査 A~D地区
     正倉院の確認と炭化米の大量出土
    1999◆

    平成8年(1996) 第3次弥勒寺東遺跡発掘調査 範囲確認1~8トレンチ
     遺構が東遺跡全体に広がることを確認
    1999◆

    平成9年(1997) 弥勒寺跡の講堂西半部発掘調査 礎石の検出によって、基壇面が判明
    第4次弥勒寺東遺跡発掘調査 E・F地区、9~11トレンチ
     郡庁院の規模・構造の解明
    2009
    1999◆

    平成10年(1998) 弥勒寺跡の講堂西半部発掘調査
    第5次弥勒寺東遺跡発掘調査 G地区、12トレンチ
     館・厨の追求と遺跡東端の門跡の調査
    2009
    1999◆

    平成11年(1999) 第6次弥勒寺東遺跡発掘調査
     遺跡東端の門跡の精査と郡庁院外の施設の追求


    平成14年(2002) 弥勒寺西遺跡発掘調査 祭祀・工房跡 2007
    平成17年(2005) 第7次弥勒寺東遺跡発掘調査 13・14トレンチ
     追加指定へ向けての範囲確認補足調査
    第8次弥勒寺東遺跡発掘調査
     個人住宅リフォームに伴う下水道配管経路の調査




    平成18年(2006) 第2次弥勒寺西遺跡発掘調査(範囲確認)1~3トレンチ
     竪穴建物、掘立柱建物群検出
    2007

    平成19年(2007) 弥勒寺東遺跡(弥勒寺官衙遺跡)の追加指定と名称変更
    「弥勒寺官衙遺跡群 弥勒寺官衙遺跡 弥勒寺跡 丸山古窯跡」
    平成20年(2008) 第1次池尻大塚古墳発掘調査(範囲確認) 東西南北トレンチ 2015
    平成22年(2010) 『国指定史跡 弥勒寺官衙遺跡群 保存管理計画書』刊行
    平成23年(2011) 第2次池尻大塚古墳発掘調査(範囲確認補足と石室)
     A~Fトレンチと石室(玄室)
    2015

    平成25年(2013) 第9次弥勒寺東遺跡発掘調査 郡庁院南東角の確認 2017
    平成27年(2015) 『弥勒寺史跡公園整備基本計画-国指定史跡 弥勒寺官衙遺跡群-』策定
    平成28年(2016) 池尻大塚古墳の追加指定と名称変更
    「弥勒寺官衙遺跡群 弥勒寺官衙遺跡 弥勒寺跡 丸山古窯跡 池尻大塚古墳」

    弥勒寺跡塔・金堂跡発掘調査
     史跡整備に伴う塔・金堂基壇の確認


    2023

    令和3年(2021) 弥勒寺東遺跡郡庁院南門跡範囲確認調査
     史跡整備に伴う郡庁院南門の確認
    2023

    • 各調査の報告書は、下表の報告書一覧(刊行年)をご覧ください。
    • 下表リンク先のページに、報告書PDFを掲載しています。リンクのない報告書は、冊子のみの刊行です。冊子は、関市立図書館等でご覧いただけます。
    • 弥勒寺東遺跡(弥勒寺官衙遺跡)のうち、◆印の調査は、区域ごとに編集して「弥勒寺東遺跡i〜iii」に収録しています。
    • 書籍名やトレンチのローマ数字は、文字化け防止のため、アルファベット小文字(i、ii〜)で表示しています。
    報告書一覧
    報告書
    刊行年
    報告書題名
    1986 「弥勒寺跡」
    1988 「弥勒寺跡-範囲確認発掘調査報告書i-」
    1989 「弥勒寺跡-範囲確認発掘調査報告書ii-」
    1990 「弥勒寺跡-範囲確認発掘調査報告書iii-」
    1999 「弥勒寺東遺跡-第1次~5次発掘調査概要-」
    2007「弥勒寺西遺跡−関市円空館建設に伴う発掘調査−」
    2009 「弥勒寺跡 講堂跡発掘調査 平成9・10年度」
    2012 「弥勒寺東遺跡i-郡庁区域-」
    2014 「弥勒寺東遺跡ii-正倉区域-」
    2015 「弥勒寺東遺跡iii-第1部 館・厨区域ほか 第2部 池尻大塚古墳-」
    2017 「市内遺跡発掘調査報告書 第2部 弥勒寺東遺跡iv」
    2023 「弥勒寺官衙遺跡群発掘調査報告書」★本表下に掲載

    2023 弥勒寺官衙遺跡群発掘調査報告書

    • 発掘調査報告書 (PDF形式、13.63MB)

      2015(平成27)年度から2022(令和4)年度までの史跡公園整備期間中に実施した、国指定史跡弥勒寺官衙遺跡群の発掘調査の報告書です。

    弥勒寺遺跡群 保存と整備の歴史

     1959(昭和34)年の国史跡指定後、弥勒寺跡においてそれまでの調査成果に基づき、標識・解説石板の設置、塔跡・金堂跡の礎石位置の表示(欠けた箇所に川原石を設置)、建物位置や基壇範囲を示す石柱の設置などの整備を、1962(昭和37)年に実施しました。

     遺跡群の保存に関する計画策定のはじまりは、1980(昭和55)年、「史跡弥勒寺跡附丸山古窯跡 保存管理計画書」です。その後、2007(平成19)年の追加指定を受け、2010(平成22)年に「国指定史跡弥勒寺官衙遺跡群 保存管理計画書」を策定しました。これをふまえて、2014(平成26)年度には「弥勒寺史跡公園整備基本計画−国指定史跡 弥勒寺官衙遺跡群−」を策定し、この第1次計画に基づいて同年度から2022(令和4)年度にかけて第1次整備を実施しました。遺構の復元や平面表示などをおこない、史跡案内看板や遊歩道、トイレを備えて、史跡公園としての基本的な整備を完了しています。

    弥勒寺史跡公園整備基本計画−国指定史跡 弥勒寺官衙遺跡群−

     弥勒寺遺跡群(弥勒寺跡弥勒寺東遺跡弥勒寺西遺跡池尻大塚古墳)を中心とする長良川の景観、小瀬鵜飼、円空などの歴史・伝統文化を保護・継承し、総合的に活用するため、弥勒寺史跡公園の基本的な方向性を示す基本計画を、2015(平成27)年3月に策定しました。

    弥勒寺官衙遺跡群(弥勒寺史跡公園整備基本計画第1次計画)整備報告書

     2014(平成26)年度に策定した「弥勒寺史跡公園整備基本計画−国指定史跡 弥勒寺官衙遺跡群−」の第1次計画に基づき、同年度から2022(令和4)年度にかけて実施した第1次整備の整備報告書です。

    弥勒寺官衙遺跡群(史跡公園第1次計画)整備報告書

    弥勒寺遺跡群の活用

     公園整備が完了し、関市では弥勒寺遺跡群の存在とその価値を広く知っていただくために、学校教育との連携や現地案内イベントなどをおこなっています。

     遺跡群を案内つきで歩くイベントとして、「関の遺跡めぐり」や「古墳ウォーク」などを不定期で開催しています。広報せきや 文化財講座・イベント一覧 で案内していますので、ぜひご参加ください。

    弥勒寺遺跡群パンフレット
    ※クリックするとpdf形式で開きます。
     (全8ページ観音折り仕様)


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